― ゲーム脳① ―
2002年7月に、森昭雄日本大学教授が「ゲーム脳の恐怖」を著し、テレビゲームに没頭していると脳波の出方が変わってきて、やがて痴呆症状の脳波と同じようになってしまうと警告しています。
まず、森教授は、高齢者の脳機能を調べようと、新しい脳波計を開発し、痴呆症の患者さんでは、β波の割合が減少することをみつけました。その機器を製作する過程で、機器の調子をみるため実験的にソフトウェアを開発した8人の脳波を記録したところ、全員、痴呆者と同じ脳波を示したのです。そこで、それまでテレビゲームを10年、15年やってきている大学生を測定すると、β波がほとんど出なかったり、α波とβ波が重なっていたり、いろいろな結果が出て、β波がゲームをしてもまったく変わらないタイプの「ノーマル脳」、ゲームをやると下がるタイプの「ビジュアル脳」、β波が不安定で上下している「半ゲーム脳」、最初から低いタイプの「ゲーム脳」という四つのパターンに分類しました。
その後、無作為に幼児から大学院生まで全部で348名中で、「ゲーム中にβ波がα波より低位(つまりα分のβが1以下)になる人 ─ゲーム脳」が20%、「ゲーム中もゲーム後もβ波が低位のままの人─半ゲーム脳」 が40%、そしてゲーム脳の中でも「β波がほとんど出ていない人」が5%いました。
この中のβ波が低いタイプは痴呆症の脳波パターンと同様で、痴呆症の患者は前頭前野が働かなくなるという定説通り、実際、前頭前野の脳波の活動を示すβ波が低いことがわかりました。