タバコと健康②
― 世界禁煙デー ―
タバコを吸うこと(喫煙)は、嗜好という生活習慣の一つですが、その害は肺癌、喘息、気管支炎をはじめとする呼吸器疾患に限らず、脳卒中などの脳血管疾患、心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患など、さまざまな循環器疾患や癌、胃・十二指腸潰瘍、歯周病にまで幅広く影響します。また、喫煙している本人に限らず周りの人へも受動喫煙という形で害を及ぼし、さらに妊婦が喫煙すれば妊娠中の胎児にまで影響を与えます(胎児性タバコ症候群)。
1989年から世界保健機関(WHO)は5月31日を世界禁煙デーと決めて、全世界でタバコを吸うのをやめることを提唱し、2001年のスローガンは「受動喫煙はまわりの人を殺す…きれいな空気を!」で、受動喫煙の有害性を訴えています。
厚生労働省は「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」の中で、2010年を目途とした達成の目安の1つにタバコをあげ、タバコの健康影響についての十分な知識の普及、未成年者の喫煙防止(防煙)、受動喫煙の害を排除し、減少させるための環境づくり(分煙)、禁煙希望者に対する禁煙支援について設定し、到達目標の1つに、未成年者の喫煙率を0%にすることを掲げています。また、平成10年度喫煙と健康問題に関する実態調査によると、禁煙、節煙希望者は64.2%あり、禁煙指導プログラムが提供されている市町村の割合を100%にすることも掲げています。
鳥取県も平成13年6月に策定した「健康とっとり計画」の中で、喫煙がもたらす健康影響などの喫煙に関する知識の普及、分煙、喫煙マナーの徹底、禁煙支援プログラムの充実、未成年者、妊産婦の喫煙及び受動喫煙の防止を重点課題に取り上げ、健康寿命の延伸と質の向上を目指しています。健康日本21でも示されているように、鳥取県でも未成年者、妊産婦の喫煙率を0%にすることが掲げられています。現在、分煙は、鳥取県内の公共施設で17.6%、病院46.3%、診療所50.4%、歯科診療所45.5%の施設で行なわれていますが、2010年には100%の施設で行なわれることを目標にしています。
今後、学校での禁煙教育を広め、学校周辺や分煙を進める施設での自動販売機を減らすことと同時に禁煙指導のできる医療機関も増やす必要があります。