テレビ・ビデオの子どもへの影響④
― 子どもへの影響② ―
日本小児科学会名誉会員の伊藤助雄氏は、米国小児科学会(American Academy of Pediatrics;AAP)の報告を受けて、北九州市小児保健研究会で1982年~1996年の14年間にわたり、北九州市における乳幼児・学童のメディアに関する調査報告をしています。その中で、外遊びから内遊びへ、多人数から一人へと遊びが孤立化していること、テレビのヒーローやテレビゲームによってキャラクターが何度死んでもすぐ生き返る、死を恐れぬ精神が子どもの心底に及ぼす影響を指摘しています。また、妊婦のテレビ視聴が長時間に及び、1995年の調査ではテレビを見ないのはわずか0.8%にすぎないことを報告しています(図1)。羊水中の胎児もテレビの雑多な音に聞き耳をたて、ストレス過多、運動過多となり、臍の緒が絡み(臍帯巻絡)、指しゃぶりをして、吸いだこができて生まれるようになってきました。このことを「胎児の現代病」と呼んで、妊婦さんに、テレビ視聴をコントロールし、節度を持って対面したり、テレビを消して、静かに胎児と話しましょうと呼びかけています。さらに、新聞に休刊日があるように、うるう年の2月29日に世界中のテレビ放送を中止する運動を展開し、表1,2のようなメッセージを国内はもちろん、世界へも「ノーテレビ・デー」として提唱しています。