ノーテレビデー②
― 各地の取り組み ―
文部科学省の調査によると、親にテレビの視過ぎと注意された子は、父からは13%、母からは22%で、米、英、ドイツ、韓国と比べ最も低く、わが国の親の無頓着さが指摘されています。
また、『本当の学力をつける本』を書いた尾道市立土堂小学校陰山英男校長は、授業中ボーッとしている生徒について「彼らの共通点に気づいたのは、ある生徒を家庭訪問したときのこと。昼夜問わず、いつ訪れても大音量でテレビがつけっぱなし。効果が上がらない生徒たちは、例外なく1日2時間以上テレビを見ていた。『視聴時間が1時間半を超えると、基礎学習のプラス効果が相殺される気がする』生まれたころから、テレビ・ビデオ漬け。『これではテレビ学校に通っている状態。その影響力に授業が勝つには時間制限しかない。テレビを見ないようにできたら、学力向上の半分は達成できたも同然』」と述べています。
宮城県は2003年4月に、毎月第3日曜日を「ノーテレビデー」に指定して、子どものいる家庭に、テレビをつけないように呼びかける運動を県レベルで進めることを決め、実際に事業を実施する「青少年のための宮城県民会議」は、全国青少年健全育成強調月間である11月の第3日曜日(家庭の日)を含む11月15日~21日までの1週間を家族の会話促進週間として、テレビやビデオ、ゲーム機等を消して過ごす家族(小学生以下のお子さんのいる家族)を募集する予定になっているようです。宮城県青少年課では、「宮城県では、1967年から毎月第3日曜日を『家庭の日』と定めて、家族の絆を強める運動を進めていたが、日曜日なのに、子どもも大人も、テレビを見ることに時間を奪われて、家族団らんの時間が少なく、なかなか浸透しなかった。凶悪犯罪の多発、引きこもり、情緒不安などの青少年問題の遠因には、テレビ漬けの生活によって、親子の絆がうまく結べなくなっている家庭状況があり、青少年を取り巻くさまざまな問題の基本は家庭で、親子が会話をしたり、団らんする場をつくって、子どもとの関わりを深めることが大切だという危機意識がノーテレビデーの必要性につながった。『家庭の日』を推進するにあたって、抱き合わせで、毎月第3日曜日にはテレビを消して、ビデオも見ないし、ゲームもしないで、家族いっしょにすごしてもらう運動を展開することになった。」と話しています。
また、宮崎県延岡市の市立南方小学校PTAでは、小学生の半分が1日平均3時間以上テレビを見ていて、家事を手伝ったり友達と遊んだりする時間が30年前の半分に減ったことに、ショックを受けた保護者が「できることから始めよう」と学校側に提案し、毎月1回「今月のノーテレビデーは20日です」と書いたプリントを配り、その日1日テレビやゲームに接しないようにして、テレビを見る時間を自分でコントロールできるような子どもに育てようと、2001年9月から「月に1回テレビを見ない日」の実施を呼びかけて、約半数の家庭が、テレビを見なかったようです。その結果「静かで家族の会話が増えた」「食事中よそ見をしなくなった」「虫の声が聞こえた」などの感想が寄せられているのだそうです。
佐賀県三根町立三根東小学校では、テレビを見ながら勉強やゲーム、ビデオづけにならないよう、2000年の目の愛護デーにちなんで10月10日に試験的に「ノーテレビデー」実施し、保護者からの反応が上々だったため、2002年度から月一回に設定しました。各家庭に「毎月10日はノーテレビデー」と書いたシートを配り、各家庭のテレビ画面に張るようにしているようです。
http://www.saga-ed.go.jp/school/
edq12301/toukounotokusyoku.htm
その他、長野県穂高町は、完全学校週五日制の導入にともなって、地域の行動目標の一つに、ノーテレビタイム(ノーテレビデー)の推進をあげており、各地でノーテレビデーの取り組みが広まっています。