ノーテレビデー⑤
― 子どもを守ろう ―

 テレビの子どもへの影響として言われているものをあげてみると、ベビーラックとテレビが赤ちゃんから母親を奪う、テレビがついていると最も大切な乳児期のお母さんの話しかけが激減する、近くでテレビを見ると斜視になる、眠っていても脳に届くテレビの音、テレビの日本語とお母さんの日本語は違う、幼児では映像と現実の区別がつかない、コミュニケーションをなくして目と耳と口を奪うテレビ、脳のビタミンB1とアセチルコリンを消耗させる機械音、物事の本質を伝えないテレビ、テレビでは言葉のイメージが作れない、自分の考えがなくなり受け身の姿勢を助長、テレビを見ているときは体は一切動かない、「ながら視聴」できるのは単純な仕事と記憶のみ、論理的思考の未発達と無関係でないいじめや校内暴力、テレビの普及とともに学校で私語が蔓延、などがあげられています。

 また、日本放送連盟の調査によると、子どもの平日一日あたりのテレビ視聴時間は5時間以上12.5%、2時間以上は80.8%で、ほとんど視ないない家庭は1.3%で、好奇心の強い子どもほど、テレビ・ビデオの視聴時間が長いようです。テレビを見せておく方がこどもが静かになっていい、といった安易な生活習慣も考えてみる必要があります。1999年に米国小児科学会はそれぞれの子どものメディア歴を聴いて、①テレビ番組の注意深い選択、②番組を一緒に見て討論する、③テレビの批判的見方、④メディアで過ごす時間の制限、⑤よい番組の選び方、⑥メディア以外の活動、⑦子ども部屋にテレビを置かない環境をつくる、⑧ベビーシッターとしてテレビやビデオを使用しない、特に2歳以下の乳幼児にはテレビを見せないことを勧告しています。

 2000年2月に文部科学省が発表した「子どもの体験活動等に関する国際比較調査」によると、子どものテレビの見すぎを注意しない父親は、米国では33%に対して、日本は63%と圧倒的に多く、また、母親は米国32%に対して、日本は45%と、こちらも日本の方が多くなっています。そして、テレビやビデオを一日3時間以上見る子どもは日本の場合47%で、アメリカ、韓国、イギリス、ドイツの調査参加国の中で、最も多くなっています。このように、国際的にみても、日本の保護者は子どものテレビ視聴について、無神経でしつけをしていないことが分かります。子ども部屋にテレビを置いて、見る時間も番組の種類も自由にさせている日本の家庭は、米国小児科学会の勧告と逆のことを行っていることにもなり、子どもの健全な成長を願っていないのではないか、と疑われても弁解できないのではないでしょうか?その一方で、ケーブルテレビの普及に伴い、多チャンネル化による視聴率競争が激化し、番組の低俗化が進んでいます。今ほど、テレビの悪影響から子どもを守るのは家庭の責任であることを自覚すべき時はないのではないでしょうか?。