― 予防接種 ―

 平成6年10月1日より予防接種法及び結核予防法の一部が改正され、接種対象年齢に関わる事項については平成7年4月1日より実施されました。

この改正の要点は
①予防接種対象疾患の見直し
②義務接種から勧奨接種へ
③集団防衛から個人防衛へ
④予診の強化
⑤医療関係者や保護者への情報の提供
⑥健康被害救済の充実です。

 予防接種の対象疾患はその発生状況などから、痘そう、コレラ、インフルエンザ、ワイル病を削除し、新たに破傷風が追加され、予防接種の対象疾患はジフテリア、百日咳、破傷風、急性灰白髄炎(ポリオ)、麻疹、風疹、日本脳炎、BCGの8種となり、任意の予防接種は、インフルエンザ、おたふくかぜ、水痘、B型肝炎の4種となりました。

 予防接種に対する新しい考え方として、被接種者に対する予防接種の義務づけを緩和して「受けなければならない」(義務接種)から「受けるように努めなければならない」(努力義務接種)、即ち勧奨接種として、個人の意志を反映できるようになりました。そして、個々の子どもの状態を一番良く理解できているかかりつけ医のもとで予防接種を行う個別接種体制を進めてゆくというものです。その中で、より有効かつ安全な予防接種体制の整備のために、インフォームドコンセントのもとで、予診を十分に行い、医療関係者や保護者への適切な情報の提供を推進し、健康被害救済の充実を図ることになっています。

 予診を徹底するために予診票の中で、①体温②説明書の事前確認③発育歴④今日の体の具合⑤最近1カ月以内の病気⑥家族や遊び仲間の病気⑦1カ月以内の予防接種⑧生まれてから今までにかかった病気⑨ひきつけ(けいれん)⑩薬や食品による蕁麻疹や体調の変化⑪子供の先天性免疫不全⑫予防接種による副反応⑬家族に予防接種を受けて具合の悪くなった者がいるか⑭過去の輸血、ガンマグロブリンの投与などのチェックを行い、予防接種を行ってはならない者を的確に識別、除外するようになっています。

 旧制度で禁忌事項と呼ばれていた表現は避けられ、新制度では「予防接種を行ってはならない者」と「接種の判断を行うに際し注意を要する者」に大別されています。

 適切な情報として医療関係者向けに「予防接種ガイドライン」、保護者向けに「予防接種と子どもの健康」というパンフレットが配られ、情報の徹底が行われるようになり、接種率が向上する事が望まれます。