外反母趾④
― 装具療法 ―

 外反母趾の装具(療法)は、痛みを和らげるパッチ、矯正用装具、足底板などのフットケア用品に分けられます。
外反母趾になると、(母趾、親指)と第5趾の足底部に胼胝や鶏眼ができやすく、特に鶏眼は第4趾と第5趾の間に比較的多くみられます。このためスポンジやシリコンラバーでできたドーナツ状のクッションなどを親指の付け根のでっぱりに貼ったりします。また、足の母趾と第2指の間にガーゼを巻いて挟んでおくだけでも痛みが改善されることがあります。
 矯正用の装具には、母趾をまっすぐにする装具、趾の間を広げる装具、足の側面につけて靴による衝撃や摩擦を緩和させる装具や、足の裏の縦横のアーチを支え中足骨骨頭下パッドの付いた足底板などがあり、症状に応じて装具を使い分ける必要があります。矯正用装具のうち、夜歩かない時に使う夜間(矯正用)装具は、ばねや板に母趾を括り付け、かなり強い矯正力で締めるので、痛みとバランスを取りながら、弱い力で長時間使ったり、強い力で短時間使ったりします。若年性の外反母趾で、母趾の付け根の関節が手の指で元の位置に簡単に戻せる可逆期には拘縮、予防に有効です。靴の中に入る装具の多くは伸縮性ベルトで、母趾を母趾の付け根の内側に向けて引っ張る装具ですが、十分な効果が得られません。しかし、屋内で裸足でいる時に伸縮性ベルトやサポーターで中足骨部を押さえ、足幅の拡大を防止することは効果があります。また、外反母趾がかなり進行して母趾が第2趾の下にもぐりこんでしまった場合には、足袋が履ければ有効ですが、それ以外に足袋や5本指靴下には、外反母趾に対する大きな治療効果はありません。
 フットケア用品を使う時は靴のゆとりにも注意しておかないと、靴の中で使用してきつくなり、痛みがでて、逆効果になることもあります。自分勝手に決めずに、医師とよく相談して、市販されている物を使ったり、整形外科で自分に合ったものを作ってもらったりしましょう。